1985 年 1985 巻 14-15 号 p. 51-56
数量化理論II類の方法を応用することによって, 一般および簡易臨床検査所見の質的データから野外で応用可能な精度で乳牛の肝蔵脂肪沈着を診断できることをすでに報告した。今回は, 血液生化学的検査所見の量的データから, 判別分析法を応用することによって肝臓脂肪沈着をどの程度判定可能であるか検討した。その結果, 臨床的に肝臓機能障害を疑われた乳用牛196頭について調査した血液生化学的検査所見から行った肝臓脂肪沈着 (-, +~〓, 〓) 3群判別では, 各群の判別精度にバラツキがあり, 全体でも低い精度であった。しかし, 2組 (-か+以上, +~〓か〓) の2群判別を組合せることによって, 各群とも高い精度で判別でき, 野外における肝臓機能の診断に応用できることが示唆された。