2010 年 63 巻 7 号 p. 543-547
免疫介在性溶血性貧血(IMHA)と診断した9例の犬を供試して,血漿中のα1-酸性糖蛋白(α1-AG)値およびC-反応性蛋白(CRP)値を経時的に測定し,その予後判定の有用性について検討した. α1-AG 値およびCRP値はプレドニゾロン等の免疫抑制剤投与により回復した6症例では速やかに低下し基準値に復した. 予後不良であった3症例では,CRP値は測定値に一定の方向性が認められなかったが,α1-AG値は治療後においても低下が認められなかった. これら成績から犬のIMHAの予後判定には,治療後のα1-AG値の変化が有用であると示唆された.