2024年,北海道十勝地域の3農場で実施された導入時検査において,無症状の子牛3頭からSalmonella enterica subsp. enterica serovar Cerro(S. Cerro)が分離された.これは北海道におけるS. Cerroの初めての分離報告例である.パルスフィールドゲル電気泳動による解析で,2株は同一パターン,もう1株も遺伝的に関連があることが示唆された.異なる農場から遺伝的に類似した株が分離されたことから,北海道内ですでに拡散している可能性が示唆された.いずれも導入直後に検出されたため,農場では他個体との接触回避措置が講じられ,当該牛に対しては排菌が陰性化するまで繰り返し検査が実施された.無症状保菌牛の移動は拡散リスクを高めることから,導入牛の一時隔離と着地時検査の徹底が重要と考えられた.
豚熱の抗体検査はELISAと血清希釈法中和試験(SNT)が用いられる.今回,SNTより抗体検出が高感度なウイルス希釈法中和試験(VDNT)を豚熱の抗体検査法として確立し,ELISAやSNT陰性検体中の豚熱ウイルス特異抗体の検出を試みた.また岐阜県内農場のワクチン接種豚の抗体陽性率をELISA,SNT及びVDNTを用い算出した.VDNTで中和指数1.1以上を抗体陽性と設定したところ,SNT陰性検体の52.5%(114/217)がVDNT陽性となった.またELISAとSNTにVDNTの成績を加味しても抗体陽性率の傾向は変わらず,ワクチン接種日齢が早い群の抗体陽性率が低い傾向があった.以上より,ELISAとSNTの従来法で農場の抗体獲得概要は把握できる一方,VDNTでより正確な抗体陽性率を算出できることが明らかとなった.