日本獣医師会雑誌
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小動物臨床関連部門
レミフェンタニルと低用量フェンタニルの持続静脈内投与を併用した犬の周術期疼痛管理法の臨床的検討
山下 和人齊藤 靖生足立 真美伊丹 貴晴石塚 友人田村 純福井 翔三好 健二郎
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2013 年 66 巻 1 号 p. 45-51

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抄録

犬臨床例の周術期疼痛管理にレミフェンタニルと低用量フェンタニルを持続静脈内投与(CRI)で併用し,その効果と副作用を検討した.犬110頭を酸素-セボフルラン吸入麻酔で全身麻酔し,術中にレミフェンタニル36μg/kg/hrCRIと術後にレミフェンタニル4μg/kg/hr CRIを用いた群(R-R群,n=55)及び術中にレミフェンタニル36μg/kg/hr-フェンタニル2μg/kg/hr CRIと術後にフェンタニル2μg/kg/hr CRIを用いた群(RF-F群,n=55)を比較した.術中の終末呼気セボフルラン濃度はR-R群1.32~1.48%及びRF-F群1.43~1.57%であった.麻酔中にはすべての犬で調節呼吸を実施した.低血圧の発生率はRF-F群で有意に低かった(RF-F群13%vs R-R群38%,P=0.010).いずれの群も麻酔回復は速やかであったが,術後疼痛はRF-F群でR-R群よりも有意に軽減された(P=0.041).レミフェンタニルと低用量フェンタニルCRIによって,麻酔中の循環機能が温存され,術後疼痛を緩和できることが示唆された.

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© 2013 公益社団法人 日本獣医師会
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