日本獣医師会雑誌
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小動物臨床関連部門
四肢及び尾部の広範囲皮膚欠損創に人工真皮と遊離皮膚移植による皮膚再建を実施した犬の4例
須永 隆文高木 哲小川 修治細谷 謙次奥村 正裕
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キーワード: 人工真皮, 遊離皮膚移植
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2013 年 66 巻 1 号 p. 57-60

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抄録

人工真皮とは,抗原性を低減させたコラーゲンを主な構成成分とする第一次創傷被覆材であり,皮膚移植創に良好な移植床を作成することを目的に医学領域で広く応用されている.一方,犬に対するその臨床応用の報告はほとんどみられない.今回,4症例の犬において四肢遠位あるいは尾部に自然発生した腫瘍切除時に生じた広範囲の皮膚欠損部に良好な移植床形成を目的として人工真皮(ペルナック®)を適用し,比較的早期に新鮮で均一な健康肉芽様組織の誘導に成功した.さらに,その移植床の大部分で遊離移植片を良好に生着させることができた.犬の皮膚構造は人のそれと異なるが,犬の皮膚欠損創においても,人工真皮の適用によって皮下組織が少ない部位においても十分かつ良好な移植床を形成でき,皮膚再建の適応範囲を拡大させることが可能になると考えられた.

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© 2013 公益社団法人 日本獣医師会
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