日本獣医師会雑誌
Online ISSN : 2186-0211
Print ISSN : 0446-6454
ISSN-L : 0446-6454
獣医公衆衛生・野生動物・環境保全関連部門
廃用牛における腸管内細菌の生体内移行に関する調査
村上 覚史金澤 美緒村田 亮関口 真樹大場 剛実
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 66 巻 1 号 p. 65-69

詳細
抄録
廃用牛における腸管内細菌の生体内移行(bacterial translocation:BT)を解明するため,廃用牛12 頭の臓器を細菌学的,病理学的及び免疫組織化学的手法を用いて調べた.その結果,腸間膜リンパ節(MLN)の91.7 %,肝臓の100 %及び脾臓の66.7%から腸管内細菌が分離された.グラム陰性菌では,Escherichia coliがMLN の16.7%及び肝臓の8.3%から,Klebsiella pneumoniae とPseudomonas aeruginosa が肝臓の8.3%から分離された.グラム陽性菌では,Bacillus 属,Enterococcus 属あるいはStreptococcus 属及びStaphylococcus 属が分離された.S. aureusの分離率はMLN で8.3%,肝臓で25 %,脾臓で8.3%であった.抗E. coliポリクローナル及び抗S. aureus抗体陽性抗原は両菌種が分離された臓器から免疫組織化学的手法で検出された.病理組織学的所見では,多くの検査牛の脾臓濾胞周縁帯に好中球集積層が出現し,MLN 及び脾臓の濾胞にセロイド顆粒の蓄積が目立った.これらの成績から検査した肝臓に異常がみられた廃用牛でBT 及び消耗状態が確認された.
著者関連情報
© 2013 公益社団法人 日本獣医師会
前の記事
feedback
Top