2016 年 69 巻 12 号 p. 741-746
前肢の腫脹と疼痛を呈した猫2例が鹿児島大学附属動物病院を受診した.2例の臨床所見は外傷性炎症疾患と類似していたが,パンチ生検により炎症を伴った軟部組織原発性リンパ腫が確定した.また,2例中1例でCTとMRI検査を実施したところ,腫瘍の浸潤範囲を詳細に描出することができた.2例の病変部はいずれも広範囲に浸潤し,一般状態が低下していたため化学療法を選択した.しかし,抗癌剤投与後に有害作用と思われる高アンモニア血症を呈し,急速に状態が悪化して死亡した.本腫瘍は炎症徴候を示唆するため,鑑別が困難である.また,急速な病態進行が考えられるため,早期治療のための確実な診断法として組織生検を優先するべきである.