犬の問題行動に悩んでいる飼育者は,インターネットを通じて解決手段の情報収集を行うと予想されるが,その情報の質については評価されていない.そこで,インターネット上にある咬傷犬のトレーニングに関する情報を網羅的に収集し,情報の質として情報信頼性と動物福祉の考慮を評価した.その結果,質の低い情報に曝されている現状が示された.また,「恐怖」という単語が高頻度で使用されており,「主従関係」や「痛み」といった単語と強く共起していた.飼育者が質の低いインターネット情報に振り回されないよう,飼育者側には,動物福祉の考え方と情報の見方について,ウェブサイト運営者側には客観的で科学的根拠に基づく情報の提供を求めるとともに,飼育者に適切な情報が届けられるよう獣医師らが率先して科学的根拠に基づいた適正な情報を発信していく必要がある.