クロム硫酸を用いて夾雑物を分解, 溶解せしめ, コクシジウムのオーシストを計数する方法につき検討し, つぎのごとく考察した.
1. 使用するクロム硫酸は20%重クロム酸ナトリウムと濃硫酸を等量に混合したものを基準とする.
2. オーシスト含有被検物にクロム硫酸を作用させる場合, 発熱を伴うので水冷しつつ行なう方がよい. 強い氷冷するにはなおよばないようである.
3. 計数は混合後できる限り迅速に行なう必要がある. 長時間放置すれば大部分のオーシストは徐々に変形し, ついには破壊, 融解してしまう. しかしいっぽう, 24時間後でも正常形態を保っているものもみられた.
4. 炉過しないままの飼料残煮を多量に含む糞便では気泡の発生をみる場合がある. このときはそのまま鏡検を強行することも可能であるが, 添加するクロム硫酸量を増加すれば気泡の発生は減少する.
5. 使用した器具はオーシストとクロム硫酸が付着しているので後処置 (消毒) には配慮を要する.