日本獣医師会雑誌
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枝肉を汚染する微生物に関する研究 (IV)
豚の湯剥時およびその後の処理工程における細菌汚染と分離菌のプロテアーゼ活性について
赤司 景黒木 治男江原 茂
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1972 年 25 巻 2 号 p. 70-76

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抄録

本邦で用いられている豚の湯剥法についてこれを, 湯剥の経時的細菌の汚染と湯剥と関連する前後の枝肉処理過程における汚染細菌の消長の点から検討を行なった. 得た結果を要約すれば次のとおりである.
1) 湯剥湯の経時的汚染菌の消長については, 湯漬後10分, 20分, 30分, 60分, 90分後の各試料について検査を行なったところ, 好気性菌は湯漬直後より10分後までは, 102より103のオーダーまで増加し, 以後90分後までは10分後とほぼ近似値を示し, 増加は認められなかった. 嫌気性菌は湯漬直後より10分後までは102のオーダーであり, 以後90分後まで103のオーダーに増加した.
2) 湯剥水より分離された菌株の主たる好気性菌はグラム陽性桿菌1~2型で, 他の菌株の分離率は非常に低かった.
3) 湯剥後枝肉処理過程までに分離された菌株はMicrococcus, Streptococcus, Staphylococcusが主で, その他Gaffkya, Leuconostoc, Alcaligenes, Pseudomonasがグラム陽性菌とほぼ同率でわずかに分離された. なお, プロテアーゼ活性も, これら二次汚染菌と見られる菌株の方が, 湯剥中分離されたグラム陽性桿菌1~2型より高い値を示した.
4) 以上のことから, 今後本邦で用いられる湯剥法をさらに可能の範囲で改良し, また, 二次汚染菌群を少なくするためには, 衛生的管理の向上が要望される次第である.

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