日本獣医師会雑誌
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牛肺虫実験感染牛の長期間観察と, 保虫牛の牧野感染における役割り
伊東 季春八田 忠雄工藤 卓二谷口 隆一
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1977 年 30 巻 5 号 p. 257-260

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抄録

牛肺虫実験感染牛において, 保虫牛の観点から子虫の排泄期間を長期間にわたって観察するとともに, 子虫排泄数の程度, すなわち中等および少数の子虫を排泄している保虫牛と健康牛とを混牧して, 牛肺虫感染の有無を観察した.
28頭の牛肺虫実験感染牛の子虫消失までの期間は感染後83.2士33.3日であった.感染後100日以上にわたって子虫の排泄を続けた牛は9頭あり, 最高186日であった.子虫排泄のパターンは, 少ない子虫数が続くもの, 明瞭なピークを形成したのちに子虫数を急減して1LPG以下が長く続くもの, および明瞭なピークを形成することなくかなり多い子虫数を長期間排泄するものの3型におうよそ分けられた.
中等および少数の子虫を排泄する保虫牛と健康牛との混牧では, 健康牛のそれぞれ3/4および2/4頭に軽度感染が認められた.しかし両群間の子虫数および子虫排泄期間の差は明らかでなかった.両群とも感染成立牛は, 感染非成立牛に比較して増体は不良であった.
終わりにご校閲をいただいた, 家畜衛生試験場上野計技官に深謝するとともに, 種々ご助言をいただいた北大獣医学部籠田助教授に深謝いたします.なお本文の要旨は第78回日本獣医学会において発表した.

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