1978 年 31 巻 11 号 p. 641-647
イヌにおける心エコー図法の応用の一端として僧帽弁閉鎖不全症と診断された10症例 (年齢7~13才, 体重4~14kg) について僧帽弁UCGを記録し, その解析を試みた.
1) 機器としては表示方式がMモードのAloka Echocardiograpk (日本無線医学研究所, フクダ電子製, Model SSD-110) をイヌに応用するために, 映像倍率・掃引速度・超音波周波数およびトランスデューサーの大きさの点で改良を加えたものを使用し, トランスデューサーを第4肋間の左側胸骨縁に設置して僧帽弁UCGを記録した.
2) 僧帽弁腹側尖UCGの所見としては, 強く幅広い弁エコー・振幅増大・A波の消失・振戦・B-B′Stepの存在などさまざまのものが認められた.
3) 現時点ではUCG所見のみから僧帽弁閉鎖不全症を正確に診断することは難かしいが, UCGを記録することにより僧帽弁の器質的変化や左室振張期の動態を知るためのかなりの情報が得られた. したがってUCGはイヌにおいても心臓機能検査法として, 心電図・心音図と同様に有用な手法の一つであると考えられた.