日本獣医師会雑誌
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犬の皮膚糸状菌症に関する研究
V. 再感染に関する実験
串田 寿昭
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1979 年 32 巻 2 号 p. 71-74

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抄録
実験的に皮膚糸状菌Trichophyton mentagrophytes (Arthroderma vanbreuseghemii), Microsporum gypseum (Nannizzia gvpsea), M.canisを接種感染させ, その後自然治癒した犬に, 同種のあるいは異種の菌を再接種して, その感染の成否を臨床的, 菌学的および病理組織学的に観察した.
実験犬20頭のうち18頭は自然治癒直後に再接種をしたが, それちのうち12頭が感染防御能を示した.また, 2頭は自然治癒後それぞれ半年または1年に再接種したが, 同様に強い感染防御能を示した。すなわち, 病理組織学的検査でも菌は陰性で, 小円形細胞浸潤を主とした無菌性の反応所見であった.また, 接種後3日日には著明な紅斑と浸潤がみられたが, 経過は短かく15-20日目には治癒状態となった.菌種特異性は認められなかった.6頭の犬が再感染したが, そのうちの1頭は臨床症状が軽く経過の短縮がみられ, 他はいずれも初回接種とほぼ同様の発症経過を示した.再接種時のトリコフィチン反応が陽性のもの, また, 陰性のものでも8頭のらち2頭は再感染を起こさなかった.
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