日本獣医師会雑誌
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初生ひなの筋胃びらんについて
合田 光昭吉村 昌吾
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1980 年 33 巻 8 号 p. 383-388

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抄録

1. ブロイラー3ふ化場, 4銘柄, 12群および採卵用1ふ化場, 1銘柄, 4群の種鶏由来の初生ひなをaひなとbひなに分けて, 餌付け前に筋胃のびらんの有無について調べた. 筋胃のびらんはブロイラー, 採卵用ひなを問わず, いずれの種鶏由来ひなや銘柄にもみられ, しかもaひなに比べてbひなに, また雌より雄に多く出現した.
2. bひなはaひなに比べて体重は劣り, また筋胃びらんの認められるひなの体重は低い傾向にあった.
3. 筋胃のびらんは肉眼的にケシの実大から粟粒大の大きさを, あるいは搬に沿って線状を示し, 腺胃から筋胃への移行部近辺に数個出現することが多い. また28例の筋胃びらんの認められるひなの病理組織学的検査では, 筋胃病変以外には中枢神経をはじめ特記すべき所見はみられなかった. 筋胃の病変はケラチン層の融解・欠損がみられ, 同層直下の粘膜の表在性の上皮細胞は盃細胞様構造を失し, また腺腔内の分泌柱は乏しくあるいは消失していた. また重度の例では固有層の腺上皮細胞や固有層の変性・壊死が認められた. いずれの病変にも種々の程度に必ず偽好酸球の浸潤がみられる.

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