日本獣医師会雑誌
Online ISSN : 2186-0211
Print ISSN : 0446-6454
ISSN-L : 0446-6454
猫に寄生するノミに対するカルバメート系薬物プロポクスルの殺虫・駆除効果
深瀬 徹板垣 博
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 42 巻 7 号 p. 463-467

詳細
抄録

カルバメート系殺虫薬であるプロポクスルについて, 猫に奇生する不コノミに対する殺虫・駆除効果を検討した. 円形濾紙を敷いた直径9cmの腰高シャーレに, 10μg, 50μg, 100μg, 200μg, 400μgのプロポクスルを溶解したメタノールを滴下し, メタノールの蒸発後, ネコノミを5個体ずつ投入してノックダウン試験を実施した. 実験を4回行った結果, 供試ノミの由来によりノックダウン個体数に相違がみられたが, いずれの実験においても用量-反応関係が成立し, プロポクスルの良好な殺虫効果が確認された. 次いで, 1%(W/W) 散剤, 0.1%(W/W) シャンプー製剤, 9.4%(W/W) 首輪型製剤をそれぞれ5頭のネコノミ感染猫に対して使用したところ, いずれの製剤の場合にもノミは完全に駆除された. ただし, 製剤によって駆除効果の特徴が異なり, 散剤とシャンプー製剤は, 非常に即効的であったが, 残効性は認められなかった. いっぽう, 首輪型製剤は, 装着の直後にノミを完全に駆除することはできなかったが, 1カ月の実験期間中, ノミの寄生を予防することが可能であった. また, いずれの製剤の使用例でも, 本薬物による副作用はみられなかった. 以上の成績から, プロポスクルは猫に寄生するネコノミに対して優れた殺虫効果を有し, その駆除のためには, 散剤, シャンプー製剤, 首輪型製剤から選択して使用できると考えられた.

著者関連情報
© 社団法人 日本獣医師会
前の記事 次の記事
feedback
Top