日本獣医師会雑誌
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潜在性乳房炎における乳汁中のエンドトキシンおよび細菌発育抑制物質
矢野 小夜子谷口 和紀池 博敏
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1990 年 43 巻 8 号 p. 567-571

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抄録

近年, 壊疽性乳房炎が増加傾向にあることから, 潜在性乳房炎の乳汁について, 原因菌であるグラム陰性菌由来のエンドトキシン含量を測定した. また, 抗生物質の検出法であるペーパーディスク法で疑似反応を呈する乳汁中の細菌発育抑制物質について, 乳汁中の抗菌性物質であるラクトフェリンとリゾチーム量を測定し, その関与について検討した.その結果, CMT--++に比較し+++ではエンドトキシン量が有意に増加し, グラム陰性菌による汚染度の増加が明らかになった。またペーパーディスク法においてCMT凝集度の高い乳汁は阻止円を形成し, 原因物質としてリゾチームよりもラクトフェリンの関与が大きいことが認められた. 以上のことから, 潜在性乳房炎においてグラム陰性菌による汚染度が進行していることが示唆され, 乳房炎防除対策をたてるうえでその汚染防止が重要であると考える。また潜在性乳房炎では乳汁中にラクトフェリン等の抗菌性物質が増加しており, 抗生物質の疑反応を引き起こすことが認められた。

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