日本獣医師会雑誌
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Actinobacillus pleuropneumoniae1型菌による豚の線維素性胸膜肺炎の発生
早川 裕二小前 博文井出 久義中川 寿美山口 徹竹内 久平松本 忠幸
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1991 年 44 巻 8 号 p. 790-795

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抄録

1989年3~4月にかけて, 石川県内の一貫経営農場でActinobacillus pleuropneumoniae (Ap) 感染症が発生した.
2~3カ月齢の育成子豚170頭のうち50頭が1~2日の経過で呼吸困難喀血等の重篤な症状を呈し, そのうち18頭が死亡した
剖検では, 本症に特徴的な胸水の貯留, および線維素性癒着が認められ, 組織学的には出血を伴う肺水腫がみられた. 酵素抗体法により病変部に一致してAp 1型抗原が検出され, 細菌検査で肺の病巣部からAp 1型菌が分離された.
分離菌株はSM, OTC, CPおよびTPに低感受性で, プラスミドプロフィールから薬剤耐性プラスミドの保有が示唆された.
発生農場の飼養豚におけるAp 1型菌に対する抗体陽性率は50.8%であったが, 県内の他23農場で飼養されていた豚313頭ではAp 1型菌に対する抗体陽性例は認められなかった.
これらの所見から本疾病を予防するには, 薬剤感受性試験に基づいた投薬の実施とAp 1型菌を含んだ多価ワクチン開発の必要性が示唆された.

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