先天異常子牛と甲状腺の関係を検討した. 先天異常子牛を器官系統別に9群に分類し, 甲状腺の重量, 体重比, 肉眼的所見, 組織学的所見について比較したが, 各群間に大きな差はなかった. しかし, 血中サイロキシン (T4) 濃度では虚弱, 発育不良の両群が正常群をはじめ他のいくつかの群に対し有意な低値を示した. また, 血中T4濃度が低値を示した症例は群に関係なく, 虚弱や重度の発育遅延を示す子牛であった. このことから, 先天異常子牛の虚弱や発育遅延は血中T4の低値と深く関連し, 人のクレチン症のような疾患が牛にも存在することが示された.