日本獣医師会雑誌
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乳牛の分娩直後に認められた顆粒膜細胞腫
菊地 薫岡田 啓司鈴木 利行大場 英企金田 義宏
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キーワード: , 顆粒膜細胞腫, 周産期
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1995 年 48 巻 8 号 p. 541-543

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抄録
分娩に異常を認めたホルスタイン種乳牛 (6歳) で顆粒膜細胞腫が確認された.胎子娩出前8日に外陰部の腫大, 弛緩および充血が著明で, 陰門から出血が認められ, 子宮頸管が拡大していたが, 乳房の肥大および陣痛はなかった. 胎子娩出当日に陣痛は認められず, 助産により正常雄胎子を娩出させたが胎盤の排出はなく, 少量の飴色乳汁が娩出後1週間分泌された. 娩出後3日に手拳2倍大に肥大した左卵巣を確認し, 娩出後14日に摘出した. 摘出卵巣には嚢胞が多数認められ, 嚢胞内容液のエストラジオール17β (E2) 濃度は1, 770pg/mlであった. 摘出時の子宮壁は脆弱で損傷が著しく修復は不良であり, 子宮内に大量の悪露が貯留していた. 摘出後は乳量が増加し, 娩出後68日に発情が回帰した. 末梢血中E2濃度は娩出後12日までは36~45pg/mlで推移したが, 卵巣摘出時には10pg/mlに低下し, それ以降は5pg/ml以下であった.
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