1998 年 51 巻 2 号 p. 85-90
犬の外科手術の麻酔前にアトロピン0.05mg-ドロペリドール0.25mg/kg, メデトミジン (MED) 5あるいは10μg/kg (各n=21) を静脈内投与し, 麻酔前投薬としての有用性を比較検討した. 全例についてケタミン5mg/kg静脈内投与で麻酔導入し, 気管挿管後, 笑気-酸素-イソフルレンあるいはセボフルレンで麻酔維持した. MED5μg/kg麻酔前投与で充分な鎮静・筋弛緩状態が得られ, 投与後に心拍数は低下したが, 手術中110回/分前後で推移し, 末梢動脈血圧も良好に維持された. MED10μg/kg投与群では, 他群より低い終末呼気イソフルレンあるいはセボフルレン濃度で麻酔維持できたが, 嘔吐および挿管後の呼吸停止の発生率が高かった.