日本獣医師会雑誌
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三重県で発生したハトサーコウイルスとクラミジアの感染を疑うレースバトの症例
佐藤 勝哉庄山 剛史池町 安雅中西 運悦旭 節夫赤地 重宏山内 桂子東山 陽子小畑 晴美山中 進吾谷口 稔明
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2000 年 53 巻 7 号 p. 446-450

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抄録

元気消失, 食欲不振, 下痢を呈したレースバト2羽と元気消失のみを呈した1羽が病性鑑定に供された. 剖検では2羽に顕著な腹膜炎が認められた. 病理組織学的には, 2羽のファブリキウス嚢 (F嚢) においてリンパ球の著しい消失と細網細胞の増生を伴ったリンパ濾胞の萎縮, 細網細胞およびマクロファージの細胞質内にブドウの房状の好塩基性封入体が多数観察された. また漿膜炎病巣の浸潤マクロファージの細胞質内にはクラミジア封入体が認められた. 2羽のF嚢の好塩基性封入体の透過電子顕微鏡検査では, ハトのサーコウイルス感染症を起こすウイルスにきわめて類似した直径約15nmのウイルス粒子の結晶状配列が観察された. 以上の成績から本症例はサーコウイルスとクラミジアの混合感染によることが確認され, 本邦におけるハトサーコウイルスの存在が示唆された.

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