2001 年 54 巻 5 号 p. 345-348
PCR法を馬伝染性子宮炎の診断法として確立するため, その実施条件について検討し, 感度, 特異性および再現性について評価した. PCRは既報の2stepPCR法を一部改良して実施した. まず, テンプレートDNA調製法を比較検討したところ, 市販のInstaGeneTM Matrixが煮沸法および他の2種類の市販キットに比べてわずかに優れていた. 次に, 海外で分離したTaylorella eguigenitalis 30株を用いてPCRを行ったところ, すべての株で反応がみられ, 非感染馬由来の生殖器スワブ249検体を用いてPCRを行ったところ, すべての検体で反応がみられなかった. 一方, 異なる4か所の研究所でPCRを実施したところ, 検出感度に著しい差異は認めなかった. 以上の成績から, 本PCR法は馬伝染性子宮炎の確定診断法として適当であることが明らかとなった.