2002 年 55 巻 9 号 p. 605-608
2000年2月に静岡県内のK農場からと畜場に搬入された豚からH3インフルエンザAウイルス1株 (A/swine/Shizuoka/401/2000) が分離された. 分離株の赤血球凝集素 (HA) の抗原解析および遺伝子解析から, 本株のHAは1999/2000シーズンに人の問で流行していたH3ウイルス由来であると判断された. K農場産の6カ月齢の豚における本株に対する赤血球凝集抑制抗体は, 本株分離前および分離後8カ月以降は検出されず, 分離後6カ月以内にのみ認められた. このことから, 2000年2月に豚に感染したインフルエンザウイルスは農場内の豚に一過性に蔓延したが, その後は豚の問で定着せずに終息したと推察された.