2003 年 56 巻 1 号 p. 15-20
平成12年3月, 黒毛和種繁殖牛を9頭飼育する農家で, 畜主が牛舎近くで枝打ちした木の枝を敷料として使用したところ, 約12時間後に5頭が神経症状を示し, そのうち3頭が約60時間以内に死亡した. 病性鑑定の結果, 第一胃内容からシキミ葉を多数認め, また, シキミ葉から0.5mg/gのアニサチンを検出した. さらにシキミ葉抽出液をマウスに投与したところ, 立毛, 嘔吐様症状, 開脚姿勢, 歩様異常等の神経症状を認めたことから, 本症例をシキミによる中毒と診断した.