2005 年 58 巻 11 号 p. 751-754
重度の神経症状を呈した2歳齢の犬を病理学的および寄生虫学的に検索した結果, Dirofilaria immitisの大脳への迷入が確認された. 組織学的に大脳前頭葉, 側頭葉および大脳基底核に多発性巣状の空洞形成 (虫道), 新鮮出血および実質壊死が認められ, 病変の程度は右前頭葉において著明であった. 本例が若齢であったこと, ならびに心臓におけるD.immitisの寄生数が3隻であったことを考慮すると, D.immitis感染の機会が少ない場合でもD.immitis迷入による致命的な脳傷害が起こりうることが示唆された.