日本獣医師会雑誌
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犬の線維軟骨塞栓症の1症例
中市 統三笹木 祐司長谷川 恵子森本 将弘林 俊春板本 和仁宇根 智田浦 保穂
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キーワード: , 線維軟骨塞栓症, MRI
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2005 年 58 巻 12 号 p. 829-833

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抄録

5歳齢のラブラドール・レトリーバーが3週間前に急性に発症した四肢麻痺の精査を希望して来院した. 神経学的検査では左前肢は下位運動神経徴候, 両後肢は正常あるいは上位運動神経徴候を示しており, 第6頸髄から第2胸髄の脊髄分節における障害と考えられたが, 単純X線検査では脊椎に異常所見は認められなかった. 磁気共鳴画像診断では第6頸髄内の左側にT1強調画像で等信号, T2強調画像で高信号を示し, 増強効果をほとんど示さない病変が認められ, 線維軟骨塞栓症 (FCE) と仮診断した. 病理解剖の結果, 同部位に脊髄の虚血性梗塞像が認められ, さらにその周辺の血管内に線維軟骨が確認できたことから, 本症例はFCEと確定診断された.

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