2007 年 60 巻 12 号 p. 867-871
運動不耐を主訴としたゴールデン・レトリバー, 10歳齢, 雌に対し各種検査を行ったところインスリノーマが疑われた.確定診断のため試験的開腹を行い, 膵臓左葉に結節様の腫瘤が認められたため, 外科的切除を行った.病理組織学的検査からインスリノーマと診断された.手術後は無治療で良好に推移したが, 約1カ月経過したところでふたたび低血糖が認められた.プレドニゾロンを中心とした治療を行い, 約2カ月間は血糖値のコントロールが可能であったが, その後不可能となった.そこで, ストレプトゾトシンを投与したところ血糖値は正常に回復した.最終的にインスリノーマの治療中に発症した血管肉腫で死亡するまでの約6カ月間, ストレプトゾトシンの追加投与を必要とせず, 血糖値は正常値を維持した.