日本獣医師会雑誌
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タリウム中毒による野鳥の死亡例
安田 正明斉藤 勝美世良 耕一郎小林 貴司加沢 敏明小林 政樹小川 秀治柿野 淳
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2007 年 60 巻 12 号 p. 879-883

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抄録
2006年3月, 89羽の死亡した野鳥が大潟村で発見された.うち88羽が渡り鳥であるミヤマガラスであった.調査により地域の農地において硫酸タリウムあるいはリン化亜鉛を成分とする殺鼠剤の使用が確認されたことから, 病因学的および病理学的検査に加えて, 臓器組織 (肺, 筋胃内容, 腸, 肝および腎) の元素分析を行った.分析の結果, 3羽の各臓器組織からタリウムが56~365μg/g dry weightの高濃度で検出された.また, 病理組織学的には肝細胞の空胞変性と腎尿細管上皮の顆粒状あるいは滴状変性を認めた.以上のことから, 今回の野鳥の大量死はタリウム中毒によるものと考えられた.
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