日本獣医師会雑誌
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採卵鶏ひなのイオノフォア中毒による神経病変
渡邊 理丸尾 喜之小倉 裕司亀山 衛三木 隆広中山 卓也
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2008 年 61 巻 7 号 p. 525-529

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抄録

1995年8月, 採卵鶏の幼すうが13日齢頃より食欲不振, 発育不良, 沈鬱, 脚弱症状, 視力障害を呈し約10%のひなが衰弱死した. 発症鶏に肉眼病変はなかったが, 病理組織学的検査で, 視葉, 延髄, 脊髄, 網膜などに空胞形成を認め, 脚部の骨格筋にも軽度の筋変性を認めた. 視葉および脊髄の電子顕微鏡観察で, 髄鞘のミエリン層板の解離による大小不同の空胞形成を認めた. 給与していた幼すう用飼料には, 配合したサリノマイシン以外に, 同時使用が禁止されているラサロシドが含まれていた. この飼料を実験的に採卵鶏の初生ひなに給与したところ, 発症鶏と同様の臨床症状と組織学的病変が認められた. 以上の成績から, 本症例は2種類のイオノフォア (ポリエーテル系抗生物質) の関与した中毒症と診断した. 製造工程で何らかの事故により, ブロイラー用のラサロシドが混入したものと考察した.

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