日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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鶏の体内糖類の消長に関する実験的研究 : III. 血糖, 血中乳酸, 肝グリコーゲンおよび筋グリコーゲンに対するクロールプロマジンの影響
中谷 洋一五島 治郎
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1963 年 25 巻 6 号 p. 347-353

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抄録
白色レグホン種の70~90日令の雄に, クロールプロマジン(CPZと略す)を20mg/kg投与し, 血糖, 血中乳酸, 肝グリコーゲン, 筋グリコーゲンおよび体温を測定して, 次のような結果を得た. 1) 18時間飢餓鶏を保定して, CPZ を投与したときは, 血糖はやや減少し, 血中乳酸はやや増加する傾向を示したが, いずれも統計学的に有意とはいえなかった.体温はCPZ投与後, 徐々に降下した. 2) 18時間飢餓鶏を保定することなしに, CPZ を投与したときは, 血糖はやや減少し, 肝グリコーゲンも, 筋グリコーゲンも, わずかに増加したが, いずれも統計学的に有意ではなかった. 血中乳酸は, CPZ投与後15分で減少し, その後はほぼその水準を維持した. 3) 正常鶏に CPZ を投与すると, 血糖は10分および30分後に, 統計学的に有意な減少を示した. 肝グリコーゲンは10分後に, 統計学的に有意な増加を示し, その後徐々に減少した. 血中乳酸および筋グリコーゲンは, 20分後に軽度の増加を示したが, 統計学的に有意ではなかった. 本研究を遂行するにあたり, 終始, 鞭撻および助言を賜わった東京大学教授大久保義夫先生に深く感謝申し上げる.
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