日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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過激な運動の結果生ずる骨の障害に関する研究 I
一木 彦三臼井 和哉
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1966 年 28 巻 2 号 p. 45-56_4

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抄録
動物がはなはだしい疲労に陥いると,当然各部にさまざまの病変を生ずる.本報告では,そのうち,とくに骨に生ずる病変と,疲労との関係を究明した.実験動物としてラッ1・を用い,運動として遊泳を強制負荷し,極端な疲労を作成した.まずラットを四群に分け,一群は無処置の群とし,これを対照として,他の三群,すなわち,強制遊泳運動負荷群,両側副腎摘除群,両側副腎摘除後Cortisonc連続投与群における骨の変化を生化学的,組織学的に追求した.1)遊泳群においては,体重増加が著しく抑制された.2)副腎摘除群(Adx群)の体重増加は,対照群と差がなかった.副腎摘除後Cortisonc投与群(Adx+C群)では,むしろ遊泳群に近かった.3)遊泳群の骨では,水分の増加,灰分および窒素の減少が著明であった.これらの変化は,Adx十0群における変化と全く類似の傾向を示し,いずれも対照群およびAdx群に比較して,明らかな有意の差が認められた.4) Adx群の下顎骨においては,水分は減少し,窒素は増加し,対照群に比較して明らかな有意の差が認められた.しかし大腿骨においては,差力玲忍められなかった.5) Adx+C群の脛骨は,病理組織学的に見て,Cortisonc過剰投与の結果と思われる明らかなOstc-oporosisを示した.また遊泳群における同-・一部位は,前者によく似た病変を示した.しかし下顎骨における組織像には,両群とも著変がなかった.6) Adx群の脛骨および下顎骨の組織像は,対照群のそれと同様で,なんら病変を示さなかった.7)遊泳群の副腎重量は,対照群のそれに比較して著しく増加し,著名な有意差を示した.8)遊泳群の副腎の組織像には,皮質の肥大,増生および細胞の空胞変性が認められ,とくに束状帯において著明であった.9)副腎皮質における脂質顆粒は,対照群においては,皮質全般にわたって一様に認められた.遊泳群では,わずかに球状帯に認められたのみで,束状帯および網状帯からは,ほとんど消失していた.10)以上の所見から,強制遊泳運動の負荷は,ラットに対しては強いStrcssとして作用し,疲労にともなって生ずる骨の障害は,Cortisonc過剰投与によって生ずるOstcoporosisに類似した代謝障害であって,下垂体副腎皮質系が,このMcchanismに関与することがうかがわれた.
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