牛の眼虫症に関する研究 : II. 日本における未報告種Thelazia gulosa Railliet et Henry,1910の検出について

抄録

昭和40年7月から10月にわたり,東京都の八丈島と大島,北海道の新冠種畜牧場において,合計187頭の牛を,生理食塩液加圧眼球洗浄によりで検査した結果,合計208隻の眼虫を得た.これらのうち7隻(雄5,雌2)は,従来報告されたT.rhodesiやT.5krjabiniと異なることを知り計測した結果,Ra1111etandHcnry(1910),Erschow(1928),Baudet(1938)らが報告し,たT.gulosaの計測値とほぼ一致す、るので,これを同種と同定した.わが国において,牛の眼球からT.gulosaが検出されたのは初めてである.採集された虫体は八丈島4隻(雄2,雌2),大島2隻(雄)および新冠種畜牧場1隻(雄),計7隻であった.