日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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ミンクおよびフェレットにおける実験的 Pseudorabies の臨床的観察
後藤 仁/HAGEN Karl W.
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1968 年 30 巻 5 号 p. 257-263_1

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抄録

PseudorabicsvirusはHcrpcsGroupに属し,そのウイルス学的性状は,Hcrpcsvirusと同様に,詳細に検討されている.そしてまた,各種動物におけるPseudorabicsの自然発生例や実験的感染試験も,多くの研究者によって報告されている.しかし,ミンクやフェレットにおける本症の;試験研究に関する報告は,国内はもとより,国外においてもはなはだ少ない.最近われわれは,チェコスロバキアで牛用のワクチン・ウイルスとして報告された弱毒Buk株を入手する機会を得た.そこで,この株と,米国で広く本症の研究に供されているShope株とを使用し, ミンクやフェレットおよび本症に対してもっとも感受性が高い動物とされている家兄について,感染試験を行なった.木報では,それら感染動物の臨床的観察について記述した.ミンク,フェレットおよび家兎の総計70匹が,Shope株またはBuk株の種々のウイルス量を皮下接種された.それら動物で観察されたおもな臨,床症状は,羊・豚・牛にみられると同様に,痛痒症(いわゆる"Mcdi[ch")にともなう接種部位の掻傷,口からの流血,神経症状として四肢または全身の痙畢である.また重篤なものでは,死の直前に反弓緊張がみられた.これらの症状は,フェレットでは一般に軽く,ミンクでは,家兎と同様に,重度のものが多かった.感染動物の潜伏期は,2日から8田こわたっていた.症状の持続期間は短く,1日から3日で全例斃死した.この潜伏期間,およびウイルス接種から死までの期間と,接種ウイルス量との間には,逆相関がみられた吸入感染をうけたフェレットでは,痛痒症による掻傷はみられず,多くのもので,鼻孔からの出血がみられた.これら感染動物の体温は,急激な上昇よりも,むしろ下降を示し,とくに死の前日にその傾向が著しかった.なお,これらの感染動物でみられた臨床症状,潜伏期間および症状持続期間においては,弱毒Buk株とShopc株との間に,著明な差は認められなかった.

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