日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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ミンク,フェレット,ウサギおよびマウスにおけるPseudorabies Virusの実験的研究
後藤 仁/GORHAM John R.
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1971 年 33 巻 3 号 p. 145-153

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抄録

ミンク,フェレット,ウサギおよびマウスにPscudorabicsvirusのShope株 (強毒株)とBuk株(弱毒株)を実験的に接種し,これら動物における両株の増殖性ならびに病原性を定量的に検討した.使用した動物の両殊に対する感受性は,動物の種類とウイルスの接種ルートとによって異なる.すなわち,ミンクとウサギはBuk株に対するよりも,Shope株に対して著明な感受性を有した.これに反し,フェレットと捕乳マウスは,Shope株に対するよりも,Buk株に対して高い感受性を示した.マウスの感受性は,年令による影響が認められ,日令が進むにつれて低下した.また補乳マウスの感受性は,ウイルスの接種ルートによって異なり,脳内接種で最も高く,次には皮下接種,腹腔内接種と続き,径目投与の場合に著しく低下した.この接種ルートによる感受性の差は,ミンクとフェレットにおいても同様に観察された.接種マウスにおけるウイルスの増殖性は,脳内でもっともよく,肺においてもある程度に認められたが,血液,牌,および肝では著しく弱かった.また接種動物におけるウイルスの体内分布をみると,ミンク,フェレットおよびウサギにおいては,肺と脊髄に比較的多量のウイルスが存在し,さらにウサギでは牌と脳からもウイルスが検出された.検出ウイルス量は,Buk株よりも,Shope株を接種した動物組織において,多いことがしばしばであった.以上の実験成続上り,これら動物に対するPscudorabiesvirusの病原性ならびに体内伝播について,若干の考察を加えた.

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