第I報に記載したように,日本で分離された仮性結核菌は,血清学的に5型に分類されるほか,どの菌型にも属さない菌株が3株存在する.この菌株は,越智らによりI型に分類されたものである.また,越智らの分類によるV型は,VおよびV′型の2亜型に細分されているが,外国では,V型がさらに亜型に細分をされるという報告はない.本試験は,型別不能の3株の性状と,V型に属する菌株の亜型について,検討するために行なわれた.1.型別不能株の性状a.マウスに対し,1株(#l)は弱い病原性を示したが,他の2株(#3および#14)は,ほとんど病原性を示さなかった.モルモットに対しては,3株とも,1mgの腹腔内接種で病原性を示さなかった.b.生物学的性状およびファージ感受性については,3株とも仮性結核菌の性状を有し,Yersiniaenterocoliticaとは区別される.c.血清学的に,既知の菌型に知られていない〇一抗原を保有した.この抗原をO-13とし,新しい菌型としてVI型に分類した.2.V型菌の細分a.V型菌は,AおよびBの亜型に細分された.両者はそれぞれ共通の〇一抗原と,亜型特異抗原を有する.共通抗原を,従来v型に知られているO-10とし,VA型の特異抗原を,0-14,およびVB型の特異抗原をO-15とした.b.この分類に従えば,フランスから送られたV型菌は,VA型に属する.本試験の結果,仮性結核菌はIA,IB,IIA,IIB,III,IVA,IVB,VA,VBおよびVI型の10型に分けられ,〇一抗原には,O-2からO-15までの14因子が明らかになった.
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