日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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鶏血漿蛋白質のエタノールによる分別法の検討
山田 一彦
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1971 年 33 巻 6 号 p. 301-314

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抄録
COHN 6法と ONCLEY 9法(A, B)を用いて, 鶏血漿中蛋白質の特定の一成分のみを完全に他から分離し精製することは困難であるが, 主として, Albumin (Alb.) は Fraction (F)-V, α-globulins (globs.) は F-IV-5, β-globs. は F-IV-1, Fibri-nogen (Fib.) 群は F-I, γ-globs. は F-II-1, 2の各分画中に高率に含有されることから, これら蛋白質各成分の選択的な精製が要求される場合には, ここにあげた各分画を, その Source sample (SS) として出発することができる. また, ONCLEY 9法(B)は, 他の COHN 6法や ONCLEY 9法(A)らと比較して, 鶏血漿蛋白質の分別法としてはほぼ限度にちかい蛋白質成分を分離除去しうる可能性を示しているが, 分画中各蛋白質成分の含有実量という点では,当然, 基本法である COHN 6法によって粗分別される分画中各成分の総蛋白質(TP)含量には及ばない. しかし, 本法によれば, Disc 法によって Alb. 位成分と同定された, CA法による Pre α1-golbs. らを含む数個の Alb. 成分をはじめ, α, β, γ位の各 globs. の特定の Subfraction (SF) を含有する分画を分別することができ, 目的に応じてこれら SF 分画を SS として, さらに他の分別法を併用することにより, このうちの特定成分を選択的に分別分取することも可能であると考えられる. ここで, 鶏血漿中蛋白質各成分の分別条件を COHN および ONCLEY 各法の沈降条件に従って要約すると次のとおりである. (1) Alb.: pH 4.8~5.7, Ethanol (EtOH) 25~40 vol.%. (2) α-globs.: pH 4.8~4.9, EtOH 40 vol.%. (3) β-globs.: pH 4.9~5.2, EtOH 1~18vol.%. (4) Fib.: pH 6.9~7.2, EtOH 8~25 vol.%. (5) γ-globs.: pH 5.2~7.4, EtOH 17~25 VOl.%.
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