抄録
1974~1975年に剖検された犬215例の腎臓を病理組識学的に検索し, 118例(55%)に非化膿性間質性腎炎を認めた. 検出率は4歳以上では59%であったが, 1歳未満では10%にすぎなかった. 病理組織学的には, 間質にび慢性あるいは巣状の円形細胞浸潤, 線維化がみられ, 尿細管の広汎な変性壊死を認める例もみられた. これらの腎炎例中92例(78%)に基底膜肥厚, メサンギウムの増殖, 硝子化, 硬化, アミロイド沈着を認めるび慢性あるいは巣状の糸球体病変がみられた. 合併症としてはフィラリア症が最も多く, 間質性腎炎例の67%に認められた. フィラリア感染犬102例中79例(78%)に間質性腎炎を認めたのに対し, 非感染犬では113例中39例(35%)であった. 伝染性肝炎ウイルス感染を示唆する封入体は検索した全例において認められなかった. 以上とは別の間質性腎炎例26例についてレプトスピラ感染の検索を行ったが, 腎組織標本でレプトスピラ菌体を検出せず, 1例のみが抗体陽性であった.