日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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七面鳥ヘルペスウイルスによる凍結乾燥ワクチンの野外および実験室内接種試験 : 接種鶏における抗体産生
藤川 勇治西条 加須江小幡 不二雄藤江 昇
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1979 年 41 巻 2 号 p. 167-176

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抄録
七面鳥ヘルペスウイルス(HVT)による凍結乾燥ワクチンのマレック病(MD)に対する予防効果を調査するために, 細胞随伴性HVTワクチンと共に野外鶏群(10養鶏場, 20,425羽)に応用し効果を比較した. その結果防御率では10%の危険率でも有意差がなく, 凍結乾燥ワクチンの効果は細胞随伴性ワクチンと同等であることが確認された. またそれぞれのワクチンを応用した養鶏場の1個所ずつについて, ワクチン接種による抗体産生を寒天ゲル内沈降反応(AGP)を用い, 経時的に調査した. ワクチン接種による抗体の陽転は, MDV抗原を用いては確認できなかったが, ワクチンウイルス抗原を用いることによって両養鶏場において確認され, ワクチン接種後の鶏群監視におけるAGPの有用性が示唆された. AGPによってヒナを移行抗体陽性および陰性の2群に分け, HVT凍結乾燥ワクチンを接種して抗体産生を経時的に検査した. ワクチン接種による抗体産生率は, 両群の間に5%の危険率で差を認めなかった. しかし間接螢光抗体法により抗体産生を定量的に検査した結果では, ワクチン接種時の移行抗体が比較的高い場合(320倍以上), それがMDV由来の移行抗体であってもその後の抗体産生が遅れることを認めた. しかし抗体価は3週では抑制されたが7週までには回複上昇した.
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