抄録
胎仔期から出生後, 哺乳期を経て成体へと至る間の十二指腸絨毛の形態形成, 並びに絨毛吸収上皮細胞における組織学的分化の詳細を, ハムスターを材料として, 光学顕微鏡, 走査型および透過型電子顕微鏡を用いて経時的に調べた. 絨毛は胎令13.5日で初めて角柱状の絨毛として出現し, 以後胎仔期を通してその大きさ, 数は増大をみるものの角柱状の形態を保持する. 出生を境としてこの角柱状絨毛は円柱状へと移行し, 哺乳期をすぎると円柱状から成体にみられる偏平葉状の絨毛形態へと急激に近づく. 一方絨毛表面には胎令15.5日で皺襞が, また生後3日令でlarge blebsが各々初めて出現した. これら絨毛表面にみられる諸構造は日令の進行とともに発達し, 表面構造は複雑となって行く. また吸収上皮は絨毛の発現とともに, それまでの重層から単層へと移行する. 上皮細胞表面の短かく, 不規則な微絨毛は胎令の進行とともにその長さ, 密度を増し, また胎仔期に認められるグリコーゲン顆粒の集積は出生後, 急速に消失する. 出生後, 上皮細胞はその長さを増し, 核の占有面積も減少を続け, 生後10日令でほぼ成体の上皮に近い構造を獲得するに至る. また腸腺の発達や杯細胞の数の増大もこの時期まで明らかに認められる.