1979 年 41 巻 2 号 p. 97-102
牛血清中の抗Fusobacterium necrophorum抗体を検出するため, 本菌参考菌株, 牛由来株ならびに保存菌株について, 寒天ゲルニ重拡散法による血清学的検査を行なった. 参考菌株および牛由来株に対する抗血清に対して, 塩酸加熱抽出法により作成したホモおよびヘテロの抗原, 他のほとんどの牛由来株ならびに保存2菌株の抗原はそれぞれ沈降線を形成した. F. necrophorum VPI 2891株を実験的に感染させた家兎においては, 感染後期の血清中に沈降素の出現が認められた. 次に, VPI 2891株の濃厚抗原と, 野外牛血清との沈降反応を試みたところ, 肝膿瘍牛血清23例中16例に沈降線が認められた. 一方, 非肝膿瘍牛血清においては88例中4例にそれが観察された.