日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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ベニスズメ(Estrilda amandava)から分離された新しいパラミクソウイルス
松岡 由美子喜田 宏梁川 良
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1980 年 42 巻 2 号 p. 161-167

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抄録

札幌市内の小鳥店で斃死した1羽のベニスズメの呼吸器から赤血球凝集性ウイルスを分離した. このウイルスは, 形態学的性状とノイラミニダーゼ活性および溶血活性を有することから, パラミクソウイルスであることが判明した. さらに赤血球凝集抑制(HI)試験の結果, 既知のパラミクソウイルスとは異なることが明らかとなった. 本ウイルスをベニスズメの鼻腔内に実験的に接種したところ, 接種後7日目までは多くの臓器からウイルスが回収され, ウイルス血症を起こしたものど考えられた. 接種後14および21日目には肺および下部腸管, または腎臓からのみ回収された. ウイルスを接種されたいずれのベニスズメも臨床症状を示さず, またその血中にはHI抗体が検出されなかった. 赤血球凝集活性は56℃の加熱に対して比較的安定であった. ノイラミニダーゼ活性の至適pHは6.0で, Turkey/Wisconsin/68と同じであった. このウイルスは, Paramyxovirus/finch/Hokkaido/2/78と命名された.

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