1980 年 42 巻 2 号 p. 211-219
培養ヒナ腹腔マクロファージによるEimeria tenellaのスポロゾイトならびにメロゾイトの取り込みに対してE. tenella免疫ヒナ血清の効果を試験した. 非動化免疫血清をマクロファージの培養液に20%の割合に添加した場合, マクロファージによる原虫の取り込みは原虫接種後30~120分で増加した. この効果は抗トリIgGウサギIgGのパパイン消化フラグメントの添加により抑制された. 一方, 観察期間中, 新鮮免疫血清で処理することによってマクロファージに取り込まれた原虫の数は増加しなかった. スポロゾイトのマクロファージに取り込まれた後における種々の血清処理の影響は新鮮免疫血清処理群においてのみみられた. この群のマクロファージ内原虫数は培養2時間後で, すでに非動化免疫血清, 非動化ならびに新鮮正常血清処理群と比較して極端に少なく, また2-15時間培養後のマクロファージ内原虫の減少率は他群に比ベ高かった. 非動化免疫血清処理群と正常血清処理群における原虫の減少率はほぼ同様であった. これらの現象には補体と抗体による細胞溶解作用が関与し, 結果として短時間で原虫は完全にあるいは部分的に溶解されたのであろうと考えられた.