日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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各種動物の摘出回腸縦走筋標本におけるプロスタグランジンE2の収縮について
神崎 淳二清水 一政中條 真二郎浦川 紀元
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1981 年 43 巻 6 号 p. 853-861

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抄録
プロスタグランジン類(PGs)は広く生体内に存在するが, 特に消化管に対するPGsの作用はPGsの種類, 実験動物種, 消化管の部位等によってまちまちである. 本実験は, 各種動物(サル, イヌ, ネコ, ウサギ, モルモット, ハタネズミ, ラットおよびマウス)の摘出回腸縦走筋標本を用いて, PGE2の収縮反応をマグヌス法によって求め, 動物種属間の感受性の差を対比すると共に, 各種桔抗薬の影響を観察した. サルおよびネコの回腸縦走筋はPGE2により持続性に収縮し, 他のものは一過性の収縮後弛緩した. 回腸縦走筋標本における各種動物の感受性は濃度作用曲線より, モルモットが最も高く, 続いてハタネズミ, ウサギ, ラット, マウスの順に高く, サル, イヌおよびネコは低く, PGE2収縮には種属間に感受性の差が認められた. さらに, PGE2収縮に対する各種桔抗薬の影響を検討したところ, ウサギ, モルモットおよびハタネズミなどの草食動物におけるPGE2収縮はTTX, アトロピン, スコポラミンおよびSC-19220で抑制された. またイヌおよびネコの肉食動物においてはスコポラミン, SC-19220で抑制されたがTTX, アトロピンでは抑制されなかった. そしてサル, ラットおよびマウスの雑食動物においてはSC-19220のみにより抑制された. 以上のように, 各種桔抗薬の効果からPGE2収縮は3つのグループに分けられた.
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© 社団法人 日本獣医学会
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