日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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イヌの腹大動脈の正常および再生血管壁のX線微量分析
牧田 登之初岡 政典小川 和重木脇 祐順佐々木 耕治
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1983 年 45 巻 1 号 p. 91-96

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抄録
ビーグル犬の正常および動脈カテーテルで内皮を剥離後修復した腹大動脈を走査電子顕微鏡で観察し, 試料断面で血管の内皮細胞, 平滑筋線維, 赤血球, 血小板に含まれるFe, P, Ca, K, Mg, Cl, S 各元素を波長分散型微量X線検出器(WDX)で分析した. 生鮮試料ではP, S, Cl, Kが主要元素であったのに対し, 凍結乾燥試料ではFeが予想外に多く, Pは中程度で, CaとKは低く検出され, Mg, Cl, Sは微量であった. 内皮剥離後4週の再生内皮細胞ではFeが正常値よりやや高く, P, Ca, Kがやや低い値を示したが, Mg, Cl, S値は非常に低く, 正常・再生内皮細胞間に顕著な差はみられなかった. 血小板では細胞体より細胞質突起でFe, P, Caが高値であった. 走査電子顕微鏡では再生内皮の明細胞と暗細胞の判別が困難であった.
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© 社団法人 日本獣医学会
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