抄録
犬の播種性 Hypereosinophilic disease 2例を病理学的に検討した. 主な臨床症状は体重減少と重度の呼吸困難, 発咳で, 1例では斃死直前に血液性下痢を認めた. 剖検では, 胸腔内気管周囲に直径約4cmの結合織に富んだ腫瘤が両例にみられ, 同様の結節状または境界不明瞭な病巣が肺, 肝, 脾にも播種性に認められた. これらの病巣に加えて, 1例では皮膚および消化管に重度の変化がみられ, 他の1例では腎およびリンパ様組織に病変を認めた. 組織学的には, 病巣はいずれも結合織の増生性変化と好酸球およびプラズマ細胞の集積からなり, 一部結合織の変性もみられた. 好酸球の脱類粒が微細形態的に認められ, 病因として免疫学的機序の関与が示唆された.