抄録
Dirofilaria immitis 人工感染における流血抗原 soluble circulating antigen(SCA)の推移をcounterimmunoelectrophoresis(CIEP)を用いて経時的に検査し, また, 同一血清むついて, CIEPと二重免疫拡散法(DD)による抗体の推移もしらべた. D. immitis 人工感染犬血清においては, CIEP によるSCAまたは抗体は, 早いもので感染後1カ月に認められた. 抗原あるいは抗体の示す沈降線は経過とともに消長したが, 常にいずれか一方または両方が検出された. しかし, DDによる抗体の検出成績は, すべての感染犬において不安定であった. D. immitis 感染犬の流血中心は高い頻度でSCAが存在し, また, D. immitis 感染犬でSCAと抗体の両方を同時に検出できるので, CIEPの信頼度は高く, DDやimmudoelectrophoresisにくらべて早く判定できる, など有用性も高いことがわかった.