日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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循環血漿中におけるメトHbのオキシHbへの還元 : ウサギとヤギの実験
八木 昭介小原 甚三
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1983 年 45 巻 5 号 p. 627-635

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抄録
ヘモグロビン尿中に含まれるヘモグロビン(Hb)がメトHbかオキシHbかを明らかにすべく, ウサギにオキシHbあるいはメトHbを大量, ハプトグロビン(Hp)結合能以上注射してHb尿をおこし, 経時的に採取した尿管尿あるいは膀胱尿中のHbを同定した. 注射Hbの血漿中における酸化還元の様子も経時的に追跡した. オキシHbとメトHbは吸光曲線のパターンによって同定した. ヤギについても同様の実験を行なった. (1)オキシHb注射後の血漿中HbはオキシHbだけで, 2時間後においてもメトHbに変化しなかった. 注射後3時間まで数回集めた尿管尿中のHbはオキシHbのみであった. 注射1時間後に採取した膀胱尿中にはオキシHbと一部メトHbが混在していた. (2)メトHb注射後の血漿中HbはオキシHbに還元され, 1時間でそのほとんどがオキシHbに変化した. 尿管尿中にもオキシHbが増加し, 1時間から1.5時間までの尿中HbはほとんどオキシHbであった. 膀胱尿にもオキシHbがみられ, 1~1.5時間尿には大部のオキシHbと一部のメトHbを含んでいた. (3)高Hpウサギに, Hp結合能以下のメトHbを注射した場合においても, 遊離のメトHbの場合と同様, 血漿中HbはオキシHbに変化した. Hb尿はみられなかった. (4)ヤギにおいてもほぼ同様の所見が得られた.
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