日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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45 巻, 5 号
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  • 玉手 英夫, 山田 純三
    1983 年 45 巻 5 号 p. 547-559
    発行日: 1983/10/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    2頭のクビワペッカリー, Dicotyles tayacu後胃を緩衝ホルマリンで灌流固定して観察した. 幽門腺部は幽門近い小部分に限られ, 非腺部は胃溝の唇部に続く低いひだの口方に存在した. 噴門腺は胃底と非腺部上皮の中間に顕微鏡的に存在するほか, 背側横ひだに近い部分にも存在した. 胃底腺部粘膜は後胃粘膜の大半を占め, 幽門腺部粘膜より約2倍厚く, 平均2.00mmであった. 胃底腺は発達した単管状腺で腺管の1側の腺細胞数は平均503個に達し, 直走する腺頸部では2個の副細胞または主細胞が1個の壁細胞と密接に対応していた. 腺峡部上皮の陥入により壁細胞は腺腔に対して明らかな遠位性を示した. ペッカリー胃底腺はブタ胃底腺と基本的には同様の構造であるが, より発達していた. 幽門腺はブタにくらべて発達がよくなかった. 免疫組織化学的方法により3種類の内分泌細胞(セロトニン貯蔵細胞, ソマトスタチン貯蔵細胞, ガストリン貯蔵細胞)がペッカリー後胃組織で証明された.
  • 有嶋 和義, 山本 雅子, 江口 保暢, 望月 公子
    1983 年 45 巻 5 号 p. 561-567
    発行日: 1983/10/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    胎生期におけるラット肺の発達に対する副腎の役割を解明するため, 正常な妊娠末期の胎仔と新生仔, プロジェステロンにより妊娠を延長した胎仔ならびに両側副腎除去と除去後コルチコステロンを投与した脂汗の肺の界面活性剤含量および組織を調べた. 界面活性剤含量は, bubble stability ratio (BSR)により間接的に推定した. BSRは, 出生に向かって次第に上昇し, 生後1日, 2日において下降した. これは, 大肺胞細胞の数が出生前に次第に増加し, 生後に減少し, 肺胞壁は絶えず薄くなってゆくという組織学的所見と平行した. 妊娠を延長すると, BSRおよび肺胞の組織像は, 胎生期の状態を持続した. 胎仔の副腎除去は, BSRの減少と, 肺胞の組織学的分化の遅滞をもたらし, これらは, コルチコステロンの投与によって阻止された. 本研究結果は, 胎仔副腎が出生前の大肺胞細胞の発達と界面活性剤の生産に, 積極的に関与するという見解を支持するものである.
  • 山本 慎一, 小沼 操, 児玉 洋, 見上 彪, 伊沢 久夫, 松本 耕三
    1983 年 45 巻 5 号 p. 569-575
    発行日: 1983/10/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ヌードマウスに牛白血病由来株化細胞(FLK)生細胞をあらかじめ接種すると, 2回目に接種したFLK細胞の排除に遅延がみられた. FLK細胞に対する, ヌードマウス脾のNK細胞およびK細胞活性を8時間の51Cr遊離試験で調べると, FLK生細胞接種ヌードマウスではFLK細胞に対するK細胞活性が顕著に低下していた. しかしFLKおよびYAC-1細胞に対するNK細胞活性には差が見られなかった. 一方, グルタール・アルデヒド不活化FLK細胞あるいは, 乳剤にしたFLK死細胞を接種したヌードマウスではFLK細胞に対するNKおよびK細胞活性に変化を生じなかった. これらの結果は, FLK生細胞接種によりヌードマウスのK細胞活性が抑制されてFLK細胞排除が遅延することを示唆しており, 腫瘍増殖を促進するものと考えられた.
  • 浅野 隆司, 保刈 成男
    1983 年 45 巻 5 号 p. 577-583
    発行日: 1983/10/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    In situのラット小腸循環系を用いて, 銅吸収におよぼすフェノバルビタール(20, 40, 80 mg/kg/dayを実験前5日間連続腹腔内投与)の影響を検討した. フェノバルビタール無処置群の銅吸収率は灌流流開始90分後に45.7%に達した. 処置群の銅吸収率は無処置群に比較し有意に大きく, 90分後には20mg/kg群, 40mg/kg群, 80mg/kg群でそれぞれ56.7%, 62.7%, 70.0%の吸収率を示した. 十二指腸, 空腸, 回腸, それぞれの部位における銅吸収量には著明な差異が認められ, 十二指腸からの吸収量が最も多く, ついで空腸・回腸の順であった. また, フェノバルビタール前処置によって肝臓・腎臓・十二指腸・空腸の銅濃度に著明な増加が認められた. 以上の結果から, フェノバルビタールによる銅吸収の増加は, 輸送担体としての蛋白の合成促進によるものと推察された.
  • 今井 壮一, 扇元 敬司
    1983 年 45 巻 5 号 p. 585-591
    発行日: 1983/10/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    タイ産コブウシ10頭から得たルーメン内容中の繊毛虫の種類構成について調査し, ブチリア科の1新属新種, オフリオスコレックス科 Diplodinium 属の1新種, および Entodinium 属の1新型を認め, それぞれ Parabundleia ruminantium, Diplodinium mahidoli, Entodinium Parvum forma monospinosum として記載した. P. ruminantium は楕円形を呈し, 体長37-50μm, 頭部2個所, 尾部1個所に繊毛帯を有していた. 頭部のものは囲口部と凝結胞周辺の外皮に存在し, 尾部のものは細胞肛門付近にわずか5-6本の繊毛束として存在した. D. mahidali は大型の Diplodinium で体長117.5-167.5μm, 幅広い外質と体後端に2本の突起をもち, このうち体右側のものは棘を形成していたが, 左側のものは葉状突起のものと棘を形成するものとがあり, それぞれ D. mahidoli forma mahidoli forma n., D. mahidoli forma bispinosum forma n. と命名した. E. parvum forma monospinosum は体長35-45μm, 長楕円形の体をもち, 体後端左側に1本の尾棘を有していたが, 尾棘の有無以外の形質は E. Parvum Buisson, 1923 と一致したので, 本種の1型として報告した.
  • 牛島 純一, 松川 清, 湯浅 亮, 岡田 雅昭
    1983 年 45 巻 5 号 p. 593-602
    発行日: 1983/10/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ワラビの葉部乾燥粉末を基礎飼料に30%混合するとともに, サイアミン(0.012%), アスコルビン酸(0.01%)を添加し体重200gのモルモット雌雄に自由採食させ, 5-10日間投与(実験A), 20-80日間投与(実験B), および11-15月間投与(実験C)の3群についてワラビの毒性をしらべた. 対照群には基礎飼料に2種のビタミンを同量添加して与えた. 実験Cでは実験期間のうち90-100日間試験飼料を与え, 以後試験終了迄は対照群と同じ飼料を与えた. 実験Aでは膀胱の高度の浮腫と血尿が見られ, 実験Bでは汎骨髄癆が認められ, 血尿も見られた. 実験Cでは生残った全例の膀胱と83.3%の腸に腫瘍性の変化が認められた. すなわち膀胱では67%に移行上皮癌が, 33%に過形成または前癌状態が, また腸では53%に癌が, 13%に癌肉腫が認められ, 一時消失していた血尿が25-38%の動物に再発した.
  • 東原 稔, 高井 伸二, 日高 温子, 宝達 勉, 蛭間 正巳, 渡辺 義計, 松本 稔
    1983 年 45 巻 5 号 p. 603-612
    発行日: 1983/10/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1979年10月から1980年3月にかけて発生した, EDS-76によく似た産卵異常を主徴とする疾病の病原検索を行なったところ, ブロイラー種鶏群の糞便からウイルス(H-162株)が分離された. H-162株は二重免疫拡散法, 血球凝集抑制(HI)試験により既知のEDS-76ウイルスと区別できなかった. 羅患鶏群ではこのウイルに対する抗体が産生された. H-162株の増殖は5-iodo-2'-deoxyuridineにより阻止され, その感染性はエーテル, クロロフォルムならびに酸処理(pH3.7)に抵抗性であった. H-162株は平均孔径100nm以上のメンブランフィルターで容易に〓過されたが, 50nmのフィルターは通過しなかった. ニワトリ胎児の肝, 腎ならびに線維芽細胞, ニワトリ腎細胞などの培養で細胞変性をともなって増殖した. H-162株感染細胞の核内にはエオジン好性の封入体が観察された. 感染細胞の電顕観察では核内に定型的なアデノウイルス粒子が認められ, それらはしばしば結晶状に配列していた. H-162株は14日齢発育アヒル卵の尿膜腔内でよく増殖したが, 10日齢発育鶏卵の尿膜腔内では増殖しなかった.
  • 原田 孝則, 真板 敬三, 中島 信明, 小田中 芳次, 白須 泰彦
    1983 年 45 巻 5 号 p. 613-626
    発行日: 1983/10/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Hamburg II型 Smoking Machineを用いて1日2回, 10, 20および30本分のタバコ煙に対して4, 13および53週間ハムスターを暴露し, その反応を定量的に検討した. また, 別にビタミンC添加群(飼料中に1%混入)を上記高濃度喫煙群同様吸煙させた. タバコ煙吸入群において, 食餌効率の低下を伴う体重増加抑制が濃度依存性に認められ, タバコ煙に関連づけられる種々の組織病変が呼吸器系粘膜に観察された. また, 肺胞マクロファージの増加および喉頭粘膜の肥厚の程度は, タバコ濃度および暴露期間に相関した. 一方, ビタミンC添加群においては, 体重増加抑制および食餌効率の低下が軽減され, 鼻炎, 限局性気管支上皮増生および細気管支の腺様過形成の発生頻度が低下し, さらに肺胞マクロファージの増加も抑制された. 以上から, 肺胞マクロファージ数および喉頭粘膜の厚さは, 喫煙の影響を知る有力な指標となり得ること, ビタミンCが喫煙の影響を一部抑制する可能性が示唆された.
  • 八木 昭介, 小原 甚三
    1983 年 45 巻 5 号 p. 627-635
    発行日: 1983/10/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ヘモグロビン尿中に含まれるヘモグロビン(Hb)がメトHbかオキシHbかを明らかにすべく, ウサギにオキシHbあるいはメトHbを大量, ハプトグロビン(Hp)結合能以上注射してHb尿をおこし, 経時的に採取した尿管尿あるいは膀胱尿中のHbを同定した. 注射Hbの血漿中における酸化還元の様子も経時的に追跡した. オキシHbとメトHbは吸光曲線のパターンによって同定した. ヤギについても同様の実験を行なった. (1)オキシHb注射後の血漿中HbはオキシHbだけで, 2時間後においてもメトHbに変化しなかった. 注射後3時間まで数回集めた尿管尿中のHbはオキシHbのみであった. 注射1時間後に採取した膀胱尿中にはオキシHbと一部メトHbが混在していた. (2)メトHb注射後の血漿中HbはオキシHbに還元され, 1時間でそのほとんどがオキシHbに変化した. 尿管尿中にもオキシHbが増加し, 1時間から1.5時間までの尿中HbはほとんどオキシHbであった. 膀胱尿にもオキシHbがみられ, 1~1.5時間尿には大部のオキシHbと一部のメトHbを含んでいた. (3)高Hpウサギに, Hp結合能以下のメトHbを注射した場合においても, 遊離のメトHbの場合と同様, 血漿中HbはオキシHbに変化した. Hb尿はみられなかった. (4)ヤギにおいてもほぼ同様の所見が得られた.
  • 徳久 修一, 稲葉 右二, 佐藤 邦彦, 三浦 泰男, 金子 登, 松本 稔
    1983 年 45 巻 5 号 p. 637-646
    発行日: 1983/10/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    イバラキウイルスの赤血球凝集(HA)素は高張希釈液(0.6M NaCl, pH7.5)中で37°, 22°および4℃において牛赤血球に容易に吸着した. 吸着したHA素は等張PBSに再浮遊しても, 37°または50℃に加温しても, ノイラミニダーゼ処理しても, 赤血球から解離しなかった. 種々の塩類の0.2Mと0.6Mの溶液中でHA反応を行ったところ, NaClその他の塩類では0.6MにおけるHA価は0.2Mのそれより2~4倍高かったが, クエン酸ナトリウム溶液ではHA価に差がなかった. 0.2M, 0.6Mいずれの溶液においても, これら塩類の間でHA価に差はなかった. 牛赤血球のHA素のレセプターはノイラミニダーゼで不活化されたが, トリプシン, リパーゼ, ホルマリン, 過ヨウ素酸カリウム, 2ーメルカプトエタノールでは不活化されなかった. HA素はトリプシン, プロテアーゼ, α-アミラーゼ, 過ヨウ素酸カリウムで不活化されたが, リパーゼ, リボヌクレアーゼ, エチルエーテル, クロロホルムでは不活化されず, HA素の活性成分に糖蛋白質の関与が示唆された. このことは, Con-A Sepharose 4Bでのクロマトグラフイの結果からも支持された. HA素は37℃以下の温度で安定で, 紫外線照射, 超音波に抵抗した. 塩化セシウム密度勾配平衡遠心によりHA活性は密度1.34g/mlの分画に明瞭なピークを示し, 低密度側の分画にも広く認められた. ピーク分画のHA活性はウイルス粒子と結びついていると思われた. HA素はDEAE Sepharose CL 6BおよびCon-A Sepharose 4Bでのクロマトグラフィにより部分精製された.
  • 新井田 昌志, 石黒 直隆, 品川 森一, 佐藤 儀平
    1983 年 45 巻 5 号 p. 647-658
    発行日: 1983/10/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ハトとヒトの間のサルモネラの伝播の可能性を推定するため, 広島市で急性下痢患者から分離された19株の Salmonella typhimurium ならびに同市の3公園のハト糞便から分離された S. typhimurium 4株および S. litchfield 1株からそれぞれ検出された合計30種類の接合性Rプラスミドにつき分子遺伝性状の比較を行なった. ヒト由来の24Rプラスミド中12R(50%)は不和合群Hlに分類され, ついでIα(4:16.7%), FII(1:4.2%)がそれぞれ検出された. ハト由来の6Rプラスミド中, 3がIα, 1がHlと同定された. ヒトおよびハト由来株から検出されたIα群Rの多くはストレプトマイシン(Sm), サルファ剤(Su), テトラサイクリン(Tc)および水銀耐性を発現した. 他方, Hl群Rの場合はクロラムフェニコール, カナマイシン, Sm, Su, Tc耐性で時に水銀耐性も発現した. なお, 上記Iαプラスミドの半数とHlプラスミドの全部はヒトとハト由来コペンハーゲン型S. typhimurium のうち, それぞれに特定の生物型株から分離されている. ヒトとハト由来のIα群の供試5Rプラスミドはそろって約76.9メガダルトンで, 同じく両者から由来したHl群の2Rプラスミドは約120メガダルトンであった. また, 各不和合群のRプラスミドはそれぞれ同一の制限酵素切断パターンを示した. 以上, ヒトとハト由来のサルモネラに同一性状のRプラスミドが分布していることから, ハトとヒトの間でサルモネラが伝播することが考えられ, ハトがヒトサルモネラ症発生とかかわりあいのある可能性が推測された.
  • 山本 雅子, 有嶋 和義, 江口 保暢, 望月 公子
    1983 年 45 巻 5 号 p. 659-665
    発行日: 1983/10/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    妊娠14, 15日のラットの副腎を除去2日後では胎仔副腎は対照とくらべて差がなかったが, 妊娠16日の副腎除去2日後では, 胎仔副腎重量および皮質細胞は対照非除去例にくらべて有意に大きかった. しかし, 妊娠17日あるいは18日で副腎除去した場合には, 2日後の胎仔副腎重量の変化は有意ではなかった. 妊娠19日以降に副腎除去すると, 妊娠16日除去例と同様胎仔副腎重量および皮質細胞は対照例とくらべて有意に大きかった. メトピロンを1日に1回2日間投与後3日目に剖検した副腎除去母ラットでは妊娠16日以降除去例全例において, メトロピンを投与しない場合と比較して, 胎仔副腎重量および皮質細胞は著しく大きかった. 以上の成績からは, 胎仔下垂体-副腎系のネガティブフィードバック機構が妊娠16日~18日に機能し始めると考えられる.
  • 森 裕司, 加納 康彦, 沢崎 徹
    1983 年 45 巻 5 号 p. 667-672
    発行日: 1983/10/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    各種動物において卵巣を直接観察する目的で腹腔鏡の応用が報告されているが, 反芻動物においては, 巨大な第一胃の存在が障壁となってその適用は困難である. そこで産婦人科領域で用いられている経腔観察法のヤギへの応用を麻酔法の検討とあわせて行ない, 卵巣観察を安全かつ容易に実施することが可能となった. 観察は塩酸ケタミン(10mg/kg)と塩酸キシラジン(0.02mg/kg)の混合液を静脈内に投与し全身麻酔下に行なった. 投薬後, 麻酔状態が手術深度に達する時間は15秒程度で, 持続時間は10~15分であり, 約30分後には安全に覚醒, 起立した. 麻酔薬の毒性は少なく, 頻回反復投与しても肝機能に影響しないことが認められた. 骨盤腔鏡法とケタミシ・キシラジンによる超短時間麻酔法を組み合わせることで, シバヤギについて, 発情行動を観察しながら, 周排卵期における卵巣の形態的変化を, 1時間毎に追跡することも可能となった.
  • 中井 裕, 扇元 敬司
    1983 年 45 巻 5 号 p. 673-677
    発行日: 1983/10/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    リン酸緩衝液に浮遊して37℃・16時間予備培養したEimeria tenellaのスポロゾイトにグルコースを添加して好気条件下に培養すると, PAS染色によって示される虫体内のアミロペクチン含有量が増加した. 予備培養後, 14C-グルコースを添加して培養すると, 虫体内のアミロペクチン顆粒存在部位に放射能が認められ, 虫体から抽出した多糖体分画中にも放射能が検出された. 以上のことから, スポロゾイトは加えられたグルコースをアミロペクチンに組み込むことが明らかとなった.
  • 中沢 宗生, 播谷 亮, 杉本 千尋, 伊佐山 康郎
    1983 年 45 巻 5 号 p. 679-682
    発行日: 1983/10/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    R. equi の強毒株と弱毒株の差異を検討するために, 両者のマウス脾臓での増殖態度と培養したマウス腹腔マクロファージの殺菌作用に対する抵抗性を比較した. 強毒株は接種14日後でも菌は脾臓から回収されたが, 弱毒株は7日以降分離されなかった. また, 培養マクロファージ内で生菌数は強毒株は増加したが, 弱毒株では漸減した.
  • 松村 健道, 遠藤 隆二
    1983 年 45 巻 5 号 p. 683-685
    発行日: 1983/10/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    犬回虫陽性犬4頭およぴ陰性犬(新生犬2頭および寄生虫フリーのビーグル犬2頭)について, ELISAによる抗体測定の可能性を検討した. 血清に40希釈, 抗原20μg/mlで, ELISA値は陽性血清で0.20以上, 陰性血清で0.05以下であり, 犬回虫に対する抗体測定がELISAにより可能なことが示された.
  • 徳久 修一, 稲葉 右二, 佐藤 邦彦, 三浦 康男, 金子 登, 松本 稔
    1983 年 45 巻 5 号 p. 687-689
    発行日: 1983/10/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    イバラキウイルス実験感染牛では, 赤血球凝集抑制(HI)抗体は中和抗体よりやや早く検出された. 血清を2-MEで処理すると, HI抗体価は低下し1/2~1/4となった. また非処理血清に比べHI抗体は3~4日遅れて検出された. 2-ME処理, 非処理血清のHI抗体価はウイルス接種後約10週間ほとんど変動しなかった.
  • 成田 實, 乾 純夫, 難波 功一, 清水 悠紀臣
    1983 年 45 巻 5 号 p. 691-693
    発行日: 1983/10/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    牛伝染性鼻気管炎(IBR)ウイルス感染耐過牛に, デキサメタゾン(DM) 0.1mg/kgを投与してIBRの再発を試み, 三叉神経節炎を認め免疫蛍光法でウイルス抗原が検出された例の三叉神経節を電子顕微鏡で検索したところ, 神経細胞の核および原形質内に少数のヘルペスウイルス粒子が認められた.
  • 榎本 秋子, 原田 孝則, 真板 敬三, 白須 泰彦
    1983 年 45 巻 5 号 p. 695-698
    発行日: 1983/10/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    18週齢のSD系ラット耳介に嚢胞性病変が散見された. 同病変は雌(1/15例)よりも雄(11/18例)に好発し, 重症例では肉眼的にも耳介部の腫脹が認められた. 組織学的には軟骨内において, 限局性変性・壊死, 亀裂・嚢胞形成および補腔性の肉芽組織や再生軟骨の増生など, 種々の段階の変化が認められた. しかし, 軟骨周囲組織には著変がなかったことから, 本病変は耳介軟骨の壊死性変化に起因する嚢胞性病変と推察された.
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