日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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骨盤腔鏡によるヤギ卵巣の経時的観察
森 裕司加納 康彦沢崎 徹
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1983 年 45 巻 5 号 p. 667-672

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抄録
各種動物において卵巣を直接観察する目的で腹腔鏡の応用が報告されているが, 反芻動物においては, 巨大な第一胃の存在が障壁となってその適用は困難である. そこで産婦人科領域で用いられている経腔観察法のヤギへの応用を麻酔法の検討とあわせて行ない, 卵巣観察を安全かつ容易に実施することが可能となった. 観察は塩酸ケタミン(10mg/kg)と塩酸キシラジン(0.02mg/kg)の混合液を静脈内に投与し全身麻酔下に行なった. 投薬後, 麻酔状態が手術深度に達する時間は15秒程度で, 持続時間は10~15分であり, 約30分後には安全に覚醒, 起立した. 麻酔薬の毒性は少なく, 頻回反復投与しても肝機能に影響しないことが認められた. 骨盤腔鏡法とケタミシ・キシラジンによる超短時間麻酔法を組み合わせることで, シバヤギについて, 発情行動を観察しながら, 周排卵期における卵巣の形態的変化を, 1時間毎に追跡することも可能となった.
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