日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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イヌ・パルボウイルスとネコ汎白血球減少症ウイルスの理化学的ならびに生物学的性状の比較試験
後藤 仁平野 稔泰内田 英二渡辺 清香品川 森一一条 茂清水 亀平次
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1984 年 46 巻 4 号 p. 519-526

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抄録
イヌ・パルボウイルス (CPV) とネコ汎白血球減少症ウイルス(FPLV)の理化学的ならびに生物学的性状を比較検討した。両ウイルスのおもな諸性状, 形態および大きさでは差が認められなかったが, 熱抵抗性ではCPVは 80℃ 1時間, FPLVは 80℃ 2時間の加熱で不活化された。また, 両ウイルスの培養細胞での増殖性と赤血球凝集性に差のあることを確認した。両ウイルスの増殖型ウイルスDNA の Bgl II と Hind IIIによる制限酵素切断地図で, DNA中央部は両ウイルスに共通であったが, 両端部に違いがみられた。ふつうイヌのCPVあるいはFPLV感染試験とふつうネコのCPV感染試験では幅吐, 下痢, 白血球減少などの臨床症状がみられたが, SPFネコのCPV感染では全く症状が認められなかった。しかし, ウイルス接種動物では, 臨床症状の有無に関係なく, 接種3~11日目で明らかな血中抗体の上昇が観察された。
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